共済コラム

「沈黙は金、雄弁は銀」

2018年11月1日

 経団連は、面接などの解禁日を定めた就職、採用活動ルールの廃止を発表した。今後は政府主導で新たなルールを検討するという。生産年齢人口が減少していく、これからの日本社会を担う学生の立場で丁寧な議論をしてほしい。
 昨今の就職活動のキーワードは、相手の側に立って考える能力である「共感力」と、他人とうまく意思疎通ができるといった意味の「コミュニケーション力」だそうだ。そのこと自体に異論はないが、これを上司に意見を言ったり、仲間と激しい議論をしたりしないことだと勘違いしている人が多いという。皆さんの職場はどうだろうか。見て見ぬふりをして間違いを間違いと指摘できない職場風土は、モラルハザードに陥り大きな問題発生の引き金になることは過去から学んでいるはずだ。

 JP労組の会議などでも議論が少なくなったと感じるのは筆者だけではないだろう。かつて、労組役員時代の友人に、無類の話好きの男がいた。ある日酒場で、筆者「もう少し静かにできないの」、友人「俺にとって沈黙は拷問だ」、筆者「『沈黙は金』というじゃないか」、友人「その後には『雄弁は銀』と続く」、筆者「金と銀の価値からいって雄弁より沈黙の方が大切だという意味だろう」、友人「この諺ができた時代は、金より銀の方が価値があったから、雄弁は沈黙にまさる」。どちらが本当の意味か定かではないが、彼とは、酒場だけではなく会議でも、しばしば口角泡を飛ばしての激論となるなど、意見の違いは少なくなかったが彼の主張する力は評価していた。
 民主主義の本質を表す言葉として、フランスの哲学者「ボルテール」の「君の意見に賛成できないが、君が意見を述べる権利は死んでも守る」が度々引用される。
 つまり、民主主義は多数決ではなく、納得いくまでの議論がその源だということ。労働組合も筆者なりにザックリいうと「自分たちのことをみんなで話し合って決めるシステム」ではないだろうか。議論がないことは組合民主主義が揺らいでいることを意味している。

 関東地本は、この10月~11月にかけて組合役員が職場や組合員宅に訪問し、組合員ひとり一人と向き合う行動を展開している。時に、議論によって生まれるものが職場と組合員の将来を左右する。共済もテーマのひとつだという、大いに議論してほしい。
 そして、決めたら実践あるのみ。さあ、前期共済強化期間も残り1か月、「共感力」と「コミュニケーション力」を駆使して加入促進に精を出そう。ただし、就職活動を「就活」というなら、共済活動は「共活(キョウカツ)」、くれぐれも「恐喝」なんてことに・・・。
                                (Komu-Taka)





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日本郵政グループ労働組合中央本部