共済コラム

「一生懸命頑張れば・・・」を信じて

2021年7月28日

 全国的に梅雨も明け猛暑が続いているが、今年の梅雨はうっとうしい日々が続いた。皆さんは、日本には四つの梅雨(つゆ)があるのをご存じだろうか。それは、冬から春にかけての「菜種梅雨」、春から夏にかけての「梅雨」、夏から秋にかけての「すすき梅雨」、秋から冬にかけての「山茶花梅雨」というそうだ。四季がはっきりとしている日本らしい何とも風情ある命名で、私たちに季節の変わり目を教えてくれているのだろう。だが、こんな四季折々の情緒など吹き飛ばすような、昨今猛威を振るう自然災害である。本稿執筆中も熱海市での土石流被害のニュース映像が繰り返し流され、南九州や本州の日本海側で局地的な雨が続き、太平洋側も急な豪雨や落雷、降雹などの被害に見舞われている。改めて、万が一の時の備えの大切さを訴えたい。

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 うっとうしいと言えば、コロナ禍での生活もそうである。ある御仁に言わせると、人生の関心は「しゃべる、食べる、そしてトラベル(旅行)」の「三ベル」だそうだ。今、その3つとも自粛なのだからストレスも溜まるわけである。なのに、新型コロナウィルスの感染拡大の不安がやまない中、東京オリンピック、パラリンピックだけは特別扱いのようだ。国民の不安をよそに開催強行に突き進んで何を遺すのだろう。もし大会期間中に感染が大爆発したらと思うのは、私だけではないだろう。それより国民の命を守ることがはるかに大切だと思うのだが・・・。開催する以上は日本選手団の活躍を期待し応援したいが、「行くところまでいかないと日本人はわからない。自分たちがどれだけ愚かだったかを」との、ある識者の指摘が現実味を帯びないことを願うばかりだ。

 

 こうしたモヤモヤ感の中で米国メジャーリーグの大谷選手の活躍は数少ない明るい話題だが(というより社会現象か?)、日本のプロ野球界では、阪神タイガースが元監督の故野村克也氏を偲び開催したように、故人が球史に残した功績を称え、いわゆるメモリアルゲームが数多く見られるようになった。営業目的と言えばそれまでだが、個人的には、自分たちの持つ伝統の値打ちをアピールするようになったことは素晴らしいと思う。あるプロ野球OBは、「球史を掘り起こし、光を当ててくれることはOBとしてありがたい」と話し、「思い起こせば、昔の選手は組織のためというより、人と人の繋がりで動いていた。人間は漠然としたものより、ある誰かのために頑張る時の方が、力が出るのではないか」とも話す。オリンピアン・パラリンピアンの皆さんもそうなのかもしれない。他方、私たちは、いったい誰のために働き、活動しているのだろうか。家族のため、恋人のため、社会のため、それとも自分のため。少なくとも共済の相互扶助の精神は、他人のことを思いやる心がなければ成り立たない。筆者としても、時には共済を含めた郵政労働運動史を掘り起こしてほしい。過去があって今があり、今は未来のためにあるのだから。

 

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 さて、2017年9月号から始まった「新都心の雑記帳」も早や4年、通算35号を数える。筆者は8月末をもって地方部長を退任するので、必然的に本稿が最終稿となる。今の心境は、ただただご愛読に感謝の想いに「老兵は去るのみ」が加わる。この間、本稿で共済の持つ理念や価値を発信してきたが、最も重要視したのは、「人生が言葉をつくり、言葉が人を変える」。つまり、言葉の持つ力だ。筆者は労組役員の時に造語的な言葉を発信した。代表的なのは、連協役員時の「仲間を作り仲間を守る」、「組合員優先主義」、「地域ネットワーク」。地本役員時の「労働運動はゴールのない駅伝」、「労使関係は緊張感のある対等な関係」。中央本部役員の時は「心ひとつに」、「職場過半数代表機能」、「組織報告は組織の体温計」等々で、今も使われているのだから、少しは言葉の力を発揮したのかもしれない。

 

地方大会で挨拶する小室委員長

 また、人から聴たり本を読み出会った言葉も大切にしてきた。中でも「一生懸命頑張れば何でもできる、一生懸命頑張れば楽しい、一生懸命頑張れば誰かが助けてくれる」は大切にしている。筆者には二人の娘がいるが、当時の専従役員には休みがほとんどなく、結果して二回しか運動会に行くこと出来なかったが、その時の校長先生のあいさつが出会い。この言葉は専従役員になったばかりで悩んでいた筆者にとって、妙に心に響き、揺さぶられる想いがした。何か、労働運動や共済制度の本質を言い当てているようで「一生懸命やろう、それしかない」そんな思いに至った。それから時がたち地本書記長となって各連協の会議等で運動の楽しさ、厳しさ、そして、やりがいを訴え続けた。題して「『一生懸命頑張れば・・・』を信じて」。当時、その話を聴いていた方々が今も運動に関わっているのは役員冥利に尽きる。

 

 どうか、関東は、会社に忖度などすることなく、労働者としての思想、哲学、歴史観、そして権利意識を持って歩みを刻んでほしい。それは必ず共済活動にも好影響を与えると確信している。「『一生懸命頑張れば・・・』を信じてみよう」。筆者の遺言である。永い間のお支えに感謝。またどこかで。

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「komu-taka」こと小室隆行





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日本郵政グループ労働組合中央本部