共済コラム

絆のかたち

2020年10月20日
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 コロナ禍でしばし自粛していたが、久しぶりに映画を観に行った。ネタバレにならない程度に紹介すると、実在する写真家、浅田政志さんの実話に基づく物語「浅田家!」である。原案になったのは浅田さんの2つの写真集。そのひとつは、浅田さんの家族が「なりたかった職業、やりたかったこと」をテーマに撮影したコスプレ写真集「浅田家」。ちなみに、父は消防士、母は極道の妻、兄はカーレーサー、そして本人は・・・。この写真集は、写真界の芥川賞と言われる「木村伊兵衛写真賞」を受賞する。映画の前半は浅田家の家族を中心にユーモラスに描かれている。

 

  その後、浅田さんが日本各地から家族写真の依頼を受けていた時に東日本大震災が起こる。かつて撮影した家族を尋ねて被災地へ向かうと、津波で泥にまみれた写真の洗浄活動に励むボランティアの人々と出会う。それを手伝いつつ記録した「アルバムのチカラ」がもう一つ。後半は、家族の絆や写真の持つ力を重厚に描いている。

 

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 いろいろと感じるところがあったが、津波に流され行方不明だった娘が遺体で発見され、遺影に使う写真を見つけに来た父親が、やっと見つけた中学の卒業アルバムの中の娘に「若いなー」と一言。このシーンには泣かされた。

 

 「一枚の写真に、撮る者、撮られる者、そして見る者、各々の『自分らしい生き方』『家族への想い』が交錯し、凝縮する。先の見えないコロナ禍の不安の今、ますます見たい映画だ」と教育評論家の尾木ママは評している。助け合い、支え合う家族にとって、一枚の写真、一冊のアルバムに映る色彩は、一生色あせることはないのだろう。きっと共済制度は、こうした家族を側面からサポートできるはずだ。

 

 この映画には、目に見えない「絆」が溢れている。「絆」の語源は、犬や馬などの動物をつなぎとめておく綱のことらしいが、お互いの自由を尊重しながら心と心が通じ合う結びつきを表していると思う。早く様々な人々が絆を強く結びあう時代が来ることを願っているし、共済制度はそんな社会の一翼を担うのかもしれない。

 

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 そういえば、菅総理は目指すべき社会像を「自助、共助、公助、そして絆」としているが、自助(自己責任)最優先の政策に、「絆」とは、なんかおかしくないか。そこへいくと、10年前、JP労組初の組織内参議院議員となった難波奨二氏の政治ビジョンは、日々劣化しつつあった、人と人とのつながり、人と地域社会とのつながり、そして家族とのつながりに着目、「絆の再生」と表現し選挙戦で訴え続けた。彼の社会に対する洞察力と先見性には恐れ入る。今や国会対策委員長に就任するなど、何かとご苦労が多いと思うが、「絆の再生」に向けて活躍を願ってやまない。

 

 今年も10月22日を迎える。「真に組合員の幸せの実現」を目指し、組織統合してから13年。その想いは色あせていないだろうか。

(komu-taka)





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日本郵政グループ労働組合中央本部