共済コラム
人間の値打ち
2019年3月1日
何がアベノミクスだ、何が「いざなみ景気」超えだ。潤ったのは日産のカルロス・ゴーンとゴーンもどきの経営者ぐらいだろう。その証拠に、毎日新聞が実施した世論調査によれば「政府は景気拡大がこの1月で戦後最長となったとみられるとの見解を示したが、実感しているか」との問いに73%の国民が「実感していない」と答えている。それに厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題が加わるのだから、怒り心頭で高血圧症が悪化しそうである。
そんな折、「テレビ寺子屋」という番組を観て涙した。講師は、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏、テーマは「人間の値打ち」。鎌田流に考えると大事なことが7つあると言い、氏が経験された様々なエピソードを例えに話された。その中からいくつか筆者が印象的だったことを引いてみる。
一つは、「人生を楽しむ力」。氏は、一度きりの人生、それは我慢や耐えることではなく楽しむためにあるとし、105歳で亡くなった医師が98歳で俳句や絵を始めたことを例に「人生を楽しむ力」を持っている人は強いと説く。
二つは「愛と死」。末期がんの男性が病院の緩和ケアを受診した。
彼は新種のクリスマスローズの栽培に成功したので、その花で毎年病院の人たちを元気にしたいと病院の庭への植栽を申し出た。病院では患者さんから品物を受け取らない決まりだったが、彼の熱意を受け止めた。彼には愛と死を恐れない強い気持ちがあったからだと話された。
三つ目が「人を思いやる力」。氏は、イラクの難民キャンプで診療ボランティアを行っている。戦争は始まったら仕方ないと思うのではなく、子供たちの命を救いたいと思って始めたという。10歳で目のがんになり、15歳で亡くなった女の子が亡くなる直前に手紙をくれた。そこには、「日本人の寄付によって病院にある学校が先生を雇ってくれ、教育を受けたのが嬉しかった。私は死んでしまうが、他の子供達が救われるから私は嬉しい」と書いてあったという。この「人を思いやる力」が「人間の価値」で最も大切だと力説された。
また、氏は、「面倒をかける人がいて、面倒を見る人がいる。どちらも大切な存在だ。命を支えるということは、命を支えられていることなんだ」とも言っている。
これらのワードは、まさに「共済」の理念そのものではないだろうか。人生を楽しむために、愛と人を思いやる力で「共済の値打ち」を高めたい。そのためには一人でも多くの仲間に共済の輪へ加わってもらうことだ。後期の活動が始まっている。各支部のご奮闘に期待したい。
それにしてもこの話、国民よりご自分の夫人とお友達だけを思いやる永田町の誰かさんに聴かせたいものである。
(Komu-Taka)