組合員から信頼と共感を得られる運動と高次な労使関係をめざして ~第7回定期地方大会と関東労使共同宣言~
2014年7月14日
拝啓 梅雨明けも近づき、本格的な酷暑の季節に向かう今日この頃ですが、組合員の皆さんにはいかがお過ごしでしょうか。毎日のお仕事お疲れ様でございます。
先日は台風8号が上陸し、各地に洪水や土砂災害など大きな被害をもたらした模様です。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
さて、地方本部は7月3日から4日にかけて栃木県日光市において「第7回定期地方大会」を開催し、多岐に渡るご意見をいただきました。
地方本部は、一つひとつの意見をしっかりと受け止め、株式上場や新人事給与制度などの大きな変化に機敏に対応し、要員不足をはじめ職場の具体的な課題を解決し、組合員の雇用と労働条件を守り、そして、高次な労使関係の構築に向けて、地方本部としての覚悟と情熱をもち、組合員の皆さんから信頼と共感を得られる運動展開をお約束したところです。
その第一歩として、地方大会終了後の7月7日、七夕の日にJP労組関東地方本部と日本郵便(株)関東支社との間で「命と郵政事業を守る関東労使共同宣言~交通事故の撲滅と部内者犯罪の根絶に向けて~」を締結しました。
各職場でのミーティング等で周知のうえに、掲示板等に掲出することとなっておりますので、ご覧いただきたいと思います。
この共同宣言は、組合員が命を失うような重大事故の発生や郵政ブランドの信頼を揺るがすような部内者犯罪が根絶できていない状況を踏まえ、その改善策の一環として地方本部が関東支社に強く求めてきた経過にあり、今般、私と関東支社の佐野支社長とで署名・調印する宣言書の締結をしたものです。
私はその締結の場のあいさつで、まず今回の締結を判断した支社幹部の英断に敬意を表した上で、今回の宣言がそのことのみを目的とせず、職場労使が智恵を出し合い、実効ある具体的な意見交換のできる環境、つまり、より高次な労使関係の構築に繋げていくようにあらためて要請をしました。
それでは、これから夏本番、くれぐれもご自愛ください。
追伸
今回の便りでは、地方大会における私のあいさつを記しましたので、ご一読いただき、その想いをお読み取りいただければ幸いに存じます。
敬具
2014年盛夏
日本郵政グループ労働組合関東地方本部
執行委員長 小室 隆行
2014.7.3
第7回定期地方大会執行委員長あいさつ
皆さんこんにちは。
執行委員長の小室でございます。
地方大会にあたりまして、地本執行委員会を代表して、ごあいさつを申し上げます。
まず、関東各地からご参集いただいた代議員、傍聴者の皆さんには、JP労組運動の前進に向け、職場と地域で献身的な取り組みをいただき感謝申し上げる次第でございます。
さらに、この間の大雪や異常気象とも言うべき悪天候の中でもユニバーサルサービスの提供と業績向上に汗している、郵政に働く関東の仲間の皆さんに心から敬意を表する次第でございます。
また、本日は、公私ともにご多忙のところ、私どもへの激励のために多くのご来賓の皆様にご臨席を賜りました。
まず、本大会開催地から、連合栃木の加藤会長、民主党栃木県連代長の福田衆議院議員にお越しをいただいております。中央本部からは小俣中央執行委員長をはじめ関東出身の役員の皆様にご出席をいただきました。
郵政グループ各社からは、日本郵便関東支社・佐野支社長、ゆうちょ銀行関東エリア本部・薬丸本部長、かんぽ生命関東エリア本部・宇田川本部長、日本郵便輸送関東支社・伊藤執行役支社長、そして栃木県内幹部の皆様にご出席をいただきました。関東地方郵便局長会からは、綿引副会長ならびに栃木県内の地区会長の皆様にお越しいただきました。政界からは、組織内議員であります難波奨二参議院議員ならびに関東地方組織内議員団の皆様にもご出席いただきました。
さらには、日頃からお世話になっております、JP共済生協関東地方部、株式会社郵愛、郵政福祉関東地方本部、それぞれ代表の皆様、JP労組関東の礎を築いていただいた歴代委員長の皆様、そして、この4月に新たに設立されました「JP労組関東地方退職者の会」より渡辺会長にもお越しいただいております。
後ほど、皆様をご紹介申し上げ、代表の方からごあいさつを頂戴することとしておりますが、私から大会構成員を代表して本日のご出席に御礼を申し上げたいと存じます。本当にありがとうございました。
さて、私は、昨年の地方大会において、参議院選挙の敗北を受けて、組織をどう立て直すのかという想いを、「原点・実践・伝授」の言葉に託しました。
それは、「労働運動の原点に立ち返り、労働運動を実践する姿から、労働運動の理念を伝授する」ということを基本に、ひとつに組織拡大、二つにみらい研の加入促進、三つに共済推進を大きな柱に添えつつ、2月の大雪時における現地視察や繁忙期における職場実態調査、そして3次にわたる総対話行動など、「職場に足を運び、職場実態に目を凝らし、組合員の声に耳を傾ける」、その取り組みにより、組合員との対話を積み上げ、再生への歩みを刻んできたところでございます。
最初に、そうした実践行動を振り返りつつ、現状と課題について申し上げたいと思います。
まず、「3つの再生バロメーター」と位置付けた取り組みの現状について、報告したいと思います。
ひとつ目の組織現状については、6月17日現在、つまり全国大会前夜において29,298名と、関東地本結成以来最高組織数で大会に臨むことができました。
その全国大会において最高数を塗り替えたのは、大会開催地本である東海と関東だけでありました。
極めて、流動的な雇用環境いう困難性の高い中でも、「仲間をつくり、仲間を守る」という使命感の下、信念と執念を持って、関東の底力を如何なく発揮いただいたと思っております。
二つ目の政治団体「みらい研」の加入促進においては、民主党に対する組合員の感情など、難しい状況の中でも、全支部において15%以上を達成し、関東全体の加入率は、23.8%となったところでございます。来春の統一地方選挙や次期国政選挙を展望し、早期の30%達成を目指したいと思います。
三つ目の共済の加入推進については、久方ぶりに総合共済の加入率アップを実現いただきましたが、総体的な減少傾向に歯止めがかかっておりません。
共済の命はスケールメリットであり、そのスケールが縮小している現状は、仲間意識と助け合い文化の危機であると言えます。
そうした観点から本大会では、初めて「共済活動計画」を「1号議案付属資料」として取り扱うこととしましたので、活発なご論議を要請する次第であります。
三つのバロメーターが示す値から、関東の再生への道のりは険しいものの、着実に前に進んでいると判断しております。
改めてこの間のご奮闘に感謝申し上げる次第であります。
こうした成果の一方で、組合員からは、JP労組の活動が見えない、存在感が薄れている、労使関係の変化を感じない、との指摘をいただいております。
また、昨年の大会で申しあげた、「緊張感のある対等な労使関係」を現場解決主義の再生と役員の活動環境の整備から具現化したいとの思いは、職場に赴き組合員と向き合うたびに強くしております。
それは職場における慢性的な要員不足、なかんずく正社員比率の低さなどの労働環境の劣化、そして労使コミの形骸化による労使関係の希薄化などとともに、JP労組の組織基盤の弱さから日常活動の停滞を招き、求心力の低下につながっているものと思っております。
そうした問題意識から地方本部は、昨年の大会決定要求において、高次な労使関係の構築、役員の活動環境の整備、そして、要員不足の解消を要求の一丁目一番地として全力を傾注したところでございます。
各社の回答では、「株式上場を控え良好な労使関係は重要な要素」、「職場労使の適切なコミが信頼関係を培う」、「組合役員が事業推進に努力され地域貢献活動に取り組んでいることに敬意を表する」などの労使関係に関わる基本認識が示されています。しかし、問題なのは、こうした価値観が職場で理解され、浸透しているかということであります。
現在、地方本部は、経営側との共通認識の上にその改善に取り組んでおります。
具体的な例を挙げますと、本年1月には、「日本郵便支社幹部と支部役員との意見交換会」を開催し、支部役員の率直な意見を支社幹部に申しあげ、支社としても真摯に受け止めていただくとともに、今後も継続することとしております。
また、本大会終了後、日本郵便関東支社との間において「命と事業を守る関東労使共同宣言」を締結する運びとなっております。
これは、交通事故の撲滅と部内犯罪の根絶に向け、改めて社員の命の尊さ、そして郵政事業が永年かけて築いた信頼の確保を訴える労使の共同メッセージであります。
しかし、いくら地方労使がこうした努力を重ねても、職場に、「何を言っても無駄」という「あきらめ」や「シラケ」が蔓延し、「口は災いの元」といった風潮が根付いているとしたら、我社に将来性があるとは思えません。
私は、常々、組合役員に限らず職場での不合理をおかしいと、間違いを間違いと主張する人たちの正義感や勇気に光を当てるべきと訴えております。
これからも職場にはJP労組があり、そこには役員がいる、その当たり前の認識と活動環境の整備から、高次な労使関係と企業風土改革を追い求めたいと思います。
また、要員不足の課題につきましては、中央本部のご尽力により、新一般職の中途採用の実施、来年度新規採用者の大幅な増員、所属長加算による期間雇用社員の採用などを実現いただき、当初よりは改善がみられるものの、まだまだ厳しい状況下にあります。
労働力不足は業務運行確保に影響を与えるだけでなく、職場のモラルと品質の低下を招き、事業の信頼を損ねかねません。
今後、労働力政策の議論と並行しながら中央本部と連動した取り組み強化を図りたいと思います。
次に、これからの大きな変化に対する所見を申し上げたいと思います。
本年度は、株式上場を踏まえた中期経営計画の初年度という重要な時間帯であります。特に、政府の財政制度等審議会が「日本郵政の株式処分に関する答申」を提出し、本年秋には、主幹事証券会社が決定する予定にあることなど、金融2社の方向性を含めた株式上場に向けた具体的な動きが加速しております。
一方、上場によって、新規業務の認可や上乗せ規制撤廃などによる経営の自由度の担保、市場からの広範な資金調達、潜在的投資家に評価される企業価値とブランド力の向上など、想定されるメリットがあるものの、組合員は、心無い一部管理者の言動もあり、漠然とした不安や戸惑いを感じております。関係法令の規制はあるものの、組合員への前広な情報提供と経営側に対するチェック体制は急務であります。同時に、既に上場、公開された諸外国のレポートが報告されておりますが、ユニバーサル企業の上場の在り方について本部のシンクタンク機能に期待するものであります。
また、中期経営計画でも、例えば、巨額の投資計画が及ぼす影響や、郵便の成長戦略である、ゆうパック5億個、ゆうメール40億個の到達目標は、いわば「豊作貧乏」にならないかなどの疑義もあり、来春闘に大きく影響することも念頭に、月例業績に関する経営協議会でのチェック機能を発揮するとともに、郵便窓口の一本化、集配拠点再編と渉外要員の集約、集配センターの実質的一本化など、この間の懸案事項についても地方交渉を強化したいと思います。
そして、4月から新たな人事給与制度が段階的にスタートを切りました。心配した通り、職場では、業績手当の周知不足や制度の理解不足などが顕在化しております。
「頑張った人が報われる制度」とは、「頑張った人すべてが正しく評価される制度」でなくてはなりません。また、これから期間雇用社員、新一般職、地域基幹職など処遇の違った雇用形態の多様化が進むことになります。さらには、個人間においてもメリハリという差がつくこととなり、組合員の仲間意識やJP労組の団結観についても注視しなければなりません。
JP労組としても制度導入を承認した以上、職場の活力につながっているのかと言う視点で、苦情処理を含め当事者責任を果たしたいと思います。
次に、懸案であった「JP労組退職者の会」について申し上げます。
この4月、関東においても3,900名の会員でスタートすることができました。
これによって、JP労組は、労組本体、共済、退職者、まさに三位一体で、組織統合の完成形を見たことになります。しかし「仏作って魂入れず」の故事があるように、組織機構が確立しても、その機能が発揮できなくては意味がありません。
今後、社会保障制度の充実や平和と民主主義を守る闘い、そして来春の統一地方選挙や次期国政選挙に現退一体で取り組めるよう、心して対応してまいりたいと思います。
関東も組織統合から7年を迎えようとしております。
「同類は和に、異類は積に」という言葉があります。
同質の結集は足し算の効果があり、異質の結集は積、つまり掛け算の効果があると言う意味だそうです。
組織統合は、「真に組合員の幸せ」を目的に、歴史と文化の違いを乗り越えて大同団結をした郵政労働運動にとって歴史的偉業と言っても過言ではなく、まさに掛け算の効果を期待されたはずであります。
しかし、現状はどうでしょうか。統合効果は発揮できているでしょうか。
本年度は、分会体制の整備を急ぎ組織基盤の確立をはかりつつ、仲間を大切にする日常活動から組織の活性化を図りたいと思っております。
そのうえで、関東の組織づくり、人づくり、運動づくりの一端について簡潔に申し上げます。
ひとつは、支部再編のスケジュールであります。
議案に示した通り、広域支部、大規模支部の救済を目的に、本大会以降、各連協に仮称ですが、「支部再編プロジェクト」を設置いただき、最終的には、明年の第8回地方大会で決定することとしますので、本大会でのご確認を頂戴したいと思います。
二つは、教育活動の見直しであります。
地方本部は、人財育成が喫緊の課題と受け止め、「人財育成委員会」を設置し議論を重ねてまいりました。最終報告は別途としますが、来年度に関東地本が主催する後継者育成のセミナーを開催することとしましたので、ご論議を要請する次第です。
三つには、福祉型労働運動と心ひとつに運動の結合についてであります。
全国大会において、その方向性について確認しておりますので、関東としても、「推進委員会」での議論を踏まえ、全支部での社会貢献活動と岩手南リアス支部へのサポートを中心とした心ひとつに運動の展開について、事業政策とも絡めながら運動の進化を図ってまいりたいと思います。
次に、政治情勢について申し上げたいと思います。
この間、自民党東京都議の女性蔑視発言、石原環境大臣の「最後は金目」発言、そして、麻生副総理の、いじめ正当化発言など、政権与党の失言には枚挙にいとまがありません。
これは、「一強多弱」のなかで、緊張感の欠如と慢心がそうさせたことに加えて、政権の本音が表れたものであり、まさに、上から目線の立ち位置を如実に物語っていると見るべきであります。
そして、一昨日の憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認の閣議決定も、私たち働く者にとって看過できない労働者保護ルールの改悪も、この政権ゆえにあることを抑えなくてはならないと思います。
戦後の安全保障政策の大転換を議論の熟さぬまま、国民的議論もないまま、一内閣の判断で変えてしまう暴挙。
非正規労働者の増加や、いわゆる「ワーキング・プア」、「ブラック企業」問題には目もくれず、生身の人間の営みである労働を「モノ」や「カネ」と同列に置き、ILOの三者構成原則までも無視してしまう暴挙。
まさに、粗雑な政治、劣化した政治がその本性を現しました。
国民を無視し労働者を踏み台にするような政治が強行されることを断じて許してはなりません。
そして、こうした一連の動きが、政権交代によって、もたらされているという事実を忘れることなく、政治と私たちの働き方・暮らし方・生き方が連動していることを改めて訴えたいと思います。
結びとなりますが、サッカーワールドカップの熱戦が続いております。
日本代表チームは、目標であったベスト8進出どころか、予選リーグの突破もかなわず、ブラジルに「勝利」という忘れ物を置いてきました。
私たちも昨年の夏、大きな忘れ物をしました。
その忘れ物を取り戻せるのは、3年に一度しかチャンスがありません。
JP労組は、全国大会において難波参議院議員を次期参議院選挙に再度組織内候補として擁立するため、秋の中央委員会において正式決定することを確認し、実質的な闘いのスタートを切りました。
選挙での借りは選挙でしか返すことができません。
そのためにも、その前段として、来春の統一地方選挙における組織内候補と推薦候補全員の必勝、さらには節々の選挙戦において勝利を積み重ねつつ、民主党の再生も図らなければなりません。
幸いにも、「JP労組退職者の会」という大きな応援団を結成いただきました。先輩の力をお借りしながら、万全を期したいと思います。
課題を乗り越え運動を推進するとき、まず必要なことはリーダーの「覚悟と情熱」であります。
しかし、覚悟と情熱だけでは全体の運動とはなりません。そこには、「信頼と共感」が不可欠であり、覚悟と情熱、そして信頼と共感がそろって、初めて物事は動き出すと思います。
地方本部は、覚悟と情熱をもって、組合員から「信頼と共感」が得られる価値観とモノサシで1年間執行することお約束し、ご挨拶とします。
心ひとつに一緒にがんばりましょう。
以上