第6回定期地方大会を終えて
2013年9月21日
拝啓 一雨ごとに涼しく感じられる今日この頃ですが、組合員の皆さんには、お元気でお過ごしのことと思います。
この夏は、連日、酷暑が続いている中で、ユニバーサルサービスの提供に汗している組合員の皆さんに感謝とともに敬意を表する次第です。
また、9月16日には台風18号が本州に上陸し全国で大きな被害をもたらした模様です。この間の竜巻被害などを含めて、全ての被災された皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
現在、地方本部は、ポストライフと連携し組合員の被害状況の把握と共済金の給付手続き等に万全を期しているところです。また、会社に対して社員の安全第一を最優先したうえで気象情報に充分留意し、日々の業務運行にあたるよう改めて申し入れをしたところです。
さて、私は、8月29日~30日にかけて茨城県ひたちなか市において開催しました「第6回定期地方大会」で執行委員長に再任いただきました。
第23回参議院選挙の敗北を厳しく受け止め、組合員の信頼と組織の求心力を回復するため、「職場に足を運び、職場実態に目を凝らし、組合員の声に耳を傾ける」行動を愚直に実践し、再生の道を切り拓きたいと思います。
JP労組関東に結集する組合員の皆さんのご支援とご協力をお願いする次第です。
このページに地方大会での私のあいさつを記しました。
一読いただき、現状認識や今後の決意をお読み取りいただければ幸いに存じます。
それでは、残暑厳しき折り、くれぐれもご自愛ください。
敬具
2013年 初秋
日本郵政グループ労働組合関東地方本部
執行委員長 小室 隆行
執行委員長あいさつ
2013年8月29日
第6回定期地方大会
おはようございます。
執行委員長の小室でございます。
地方大会にあたりまして、地本執行委員会を代表して、ごあいさつを申し上げます。
まず、関東各地からご参集いただいた代議員、傍聴者の皆さんには、JP労組運動の前進に向け、職場と地域で献身的な取り組みをいただき感謝を申し上げたいと思います。
また、この夏は、連日、猛暑、酷暑が続いている中で、とりわけ外務作業に従事する皆さんには、大変なご苦労をおかけしていることを含め、日夜、郵政事業のユニバーサルサービスの提供と業績向上に汗している、組合員の皆さんに感謝とともに心から敬意を表する次第でございます。
さて、本日は、公私ともにご多用のところ、私どもへの激励のために多くのご来賓の皆様にご臨席を賜りました。
本大会開催地からは、連合茨城の和田会長、民主党茨城県連会長の郡司参議院議員秘書の渡辺様にお越しをいただいております。また、先週開催されました第6回定期全国大会において新たに選出された、中央本部より関東出身の小俣中央執行委員長ならびに新井中央執行委員にご出席をいただきました。
郵政グループ各社からは、日本郵便関東支社・小野寺支社長、ゆうちょ銀行関東エリア・中野本部長、かんぽ生命関東エリア・宇田川本部長、日本郵便輸送関東支社・伊藤執行役員支社長をはじめ、幹部の皆様にご出席をいただきました。関東地方郵便局長会からは、臼井専務理事をはじめ茨城県内の地区会長の皆様にお越しいただきました。また、組織内議員であります奥野衆議院議員ならびに田並埼玉県議会議員にもご出席いただきました。さらには、日頃からお世話になっております、ポストライフ関東地方部、株式会社郵愛、郵政福祉関東地方本部、それぞれ代表の皆様にご出席いただきました。そして、郵政事業とJP労組関東の礎を築いていただいた、歴代委員長の皆様ならびに退職者組織の先輩の皆様にもお越しいただいております。
後ほど、皆様をご紹介申し上げ、代表の方からごあいさつを頂戴することとしておりますが、私から大会構成員を代表して本日のご出席に御礼を申し上げたいと存じます。本当にありがとうございました。
さて、昨年度1年間を振り返りますと、まさに、政治決戦に尽きる日々でございました。
昨年12月の衆議院選挙、そして、この夏の参議院選挙は、私たちが応援する民主党と私たち自身に厳しい結果を示し、重い課題を投げかけました。
第46回衆議院議員選挙では、政権交代による民主党政権への大きな期待感とは裏腹に、国民の目が政権運営の未成熟さや党の分裂ばかりに注がれ、子育て支援、労働者保護法制の強化などの成果が映らず、壊滅的敗北を喫し下野する結果となりました。
そうした中でも、私たちが組織内候補として擁立した、千葉9区「奥野総一郎」さんが、比例復活ではありましたが2期目の勝利を飾ったことは、暗雲の中に一筋の光を見た感すらあり、「組織内議員の火を消すな」とご奮闘いただいた、地元千葉連協の皆さんをはじめ、すべての関係者の皆さんに、改めて感謝申し上げる次第であります。
そして、その後もさらに民主党への逆風が増す中での「第23回参議院議員選挙」では、政権与党が過半数を大きく超える議席を獲得する一方、多党化が進む野党の中で民主党は、歴史的な惨敗を喫することとなり、「一強多弱」、「ねじれ解消」という政界勢力図の大きな転換を生み出すこととなりました。
それだけ、民主党への国民の失望と反発は、私たちの想像以上に根深いものがあり、一度失った信頼を回復するのは、極めて難しいという現実を突きつけたものと思っております。
巨大な権力を手に入れた安倍政権は、集団的自衛権の解釈改憲、労働者保護法制の規制緩和など、その本質を露呈しています。これらの暴走を止めるのは、民主党しかありません。
民主党には、JP労組政策議員フォーラムの顧問でもあります、海江田代表、地元茨城選出の大畠幹事長、そして、郡司参議院議員会長を先頭に、一刻も早く政権奪還の受け皿として、再度名乗りをあげられるよう切望する次第であります。
民主党と同様に、JP労組も再生への道を模索しなければなりません。
それは、比例区より擁立した、「さだみつ克之」組織内候補が、120,782票と前回のなんば選挙から2万4千票も減らし、関東においても、なんば選挙の得票を2,995票も下回る17,080票と力及ばず敗北を喫する結果となったことに他なりません。
組織内候補擁立を決定してから約1年間の長きに渡り、組合員、退職者組織の皆さんには、昼夜を分かたぬご奮闘をいただき、心から感謝申し上げる次第でございます。
また、ご支援をいただいた方々の期待に背く結果となり、地方選対の責任者として心からお詫び申し上げる次第です。本当に申し訳ありませんでした。
地方本部は、この結果を、「現在のJP労組関東に対する組合員の率直な評価であり、等身大の組織力量である」と真摯に受け止めております。
そこには、何とか組織をまとめようと孤軍奮闘する支部・分会役員の努力と苦悩の姿がある中で、正社員比率の低下や期間雇用社員等の確保難と定着難による要員不足、一部の現場管理者による行き過ぎた営業指導やパワハラの存在、ずさんな勤務時間管理などの職場実態や、3年連続して回復していない一時金水準なども相まって、組合員の想いとJP労組の取り組みに溝ができつつあり、JP労組の存在感と影響力の低下、求心力と発信力不足が敗北の一因と考えており、こうしたことに機敏に反応できなかった地方本部の責任を痛感しているところであります。
一方でこうした職場実態や組合員意識の変化は、3年前のなんば選挙総括や、結成5年間の総括、そして、組合員意識実態調査で既に浮き彫りとなっており、この間、全くと言っていいほど克服できていない状況が反映された結果であることについても、厳しく受け止めております。
今、私たちに問われているのは、こうした課題を先送りすることなく、自らが主体的に改革する姿勢と覚悟だと思っております。
3年後の闘いを視野に入れると、残された時間は決して多くありません。
関東のすべての機関役員が危機感を共有して、「職場に足を運び、職場実態に目を凝らし、組合員の声に耳を傾ける」、いわば、「職場行脚」とも言うべき愚直な取り組みから、再生への一歩を踏み出したいと思います。
どうか、関東の組織と運動の再構築に向けて、本大会における真摯な議論を要請する次第であります。
次に、私たちの職場環境や働き方に大きな変化をもたらす課題について、所見を申し上げたいと思います。
まず、先の定期全国大会において交渉の妥結承認が図られた「新たな人事・給与制度」と「労働力政策」であります。
この9月に実施される制度概要の社員周知をスタートに、一部試行が実施された後、最終的には、2015年度から、新一般職、新給与体系、新退職手当など、全ての制度が導入される予定となっております。
地方本部は、この間、一貫して組合員を不在にしないことを第一義に、職場討議の促進と理解度の向上に汗をかいてまいりました。
この間の関東における議論は、常に職場実態を背景にした厳しいものであったことを踏まえ、現行評価に不信を抱く組合員の不安を払拭するために、組合員の制度理解は進んだのか、会社側は丁寧な周知をしたのか、そもそも現場管理者にそうしたスキルがあるのか、試行結果に不具合と不備はないのか、改めて組合員を不在にしないことを念頭に、徹底したチェック機能を発揮したいと思います。
また、従来から強く発信しております苦情処理の機能強化については、本来の役割である実効性ある解決機能の強化とともに、評価者の恣意的要素に対する抑止力機能についても追い求めたいと思います。
そして、公正、公平な評価のためには、働く環境の全国的な統一は不可欠であり、そうした意味からも、今回、一体的に整理された労働力政策の進化を図らなければならないと考えております。
そのキーワードは、「概念から理念」であります。
つまり、単なる労働力構成や要員算出基準などのモノサシ機能だけではなく、現在の要員不足が改善されるロードマップを示し、組合員が明るい展望を感じ得る政策へと進化させ、社員区分別の業務領域と責任の範囲を定めることを含め、理念ある政策となるよう、中央本部のシンクタンク機能に期待するものであります。
次に、新たな郵政づくりと株式上場について申し上げます。
まず、私たちが求めていた、「中期経営計画」が近いうちに中央本部に示されると先の全国大会で明らかにされました。
一方で、依然として損益見通し等が厳しい中で、様々な経営改善策が示される可能性を示唆しており、「中期経営計画」は、直ちに明るい将来展望を示せるものではないと、厳しい見方についても明らかになったところであります。
そうした中で、株式上場時期の報道がありました。東日本大震災の復興財源としての政治的要請に的確に応えるとともに、円滑な上場を実現し上場後においても、すべてのステークホルダーに将来を期待されるべく、そのための企業価値の向上に異論をはさむつもりはありません。
しかし、株式上場は、私たちにとって未知の世界であり、情報も少なく組合員にとっては、上場基準を満たすために、労働条件が悪化するのではないかと不安を感じていることも事実であります。経営の自由度を担保し、今一度、「グループ経営とグループ労使関係」の理念を再確認したうえで、上場企業にふさわしい労働条件と労使関係を実現することが、職場の不安払拭につながるものと考えます。
また、日本郵便の実質統合に向けた対応については、遅れている感は否めず、旧集配センター統合局の実質的一体化と共通部門のプロパー育成、人的資源のフロントラインへの投資など、社員のモチベーション向上の観点からも、会社統合の真価を目に見えるものとするよう、地方での対応を強化したいと思います。
いずれにしても、新聞報道のように株式上場が2015年春とするならば、「新たな人事・給与制度」の最終導入時期と重なることになります。
したがって、こうした大きな変化に対応するべく、ひとつに、組合員の意識変革を含めJP労組運動の在り方について多角的視点から検討が必要だということ、ふたつに、投資家の評価の観点からも高次な労使関係の構築は極めて重要であり、中央におけるユニオンショップ協定の締結とともに、地方労使においても上場企業に相応しい労使関係を展望し、私の持論である「労使関係は緊張感のある対等な関係」の具現化を、現場解決主義の再生と支部役員の活動環境の整備から図りたいと思います。
次に、現在の職場実態に対する問題意識を申し上げたいと思います。
かつて、新施策導入にあたって、盛んにオン・ザ・ジョブ・トレーニング、「OJT」と言われた時代がありました。当時、私は、OJTとは、「おまえら・自分でやれ・頼るな」の略称だというジョークもあるほど、研修とは名ばかりで何もしない例が多く、ただ研修にコストをかけたくない、ご都合主義ではないかと批判的でありました。
一方で、特別に「OJT」などと言わなくても、先輩が後輩に教える、あるいは伝授する文化が存在しました。私は、「技術と熟練の伝承」と呼んでいます。
今、正社員比率が低下し、期間雇用社員の定着が図れず、要員不足に苦しむ職場では、教える側も教えられる側も日常業務に忙殺され、伝承どころではないと聞きます。
どんな職業でも、現場が一番の学校であることは、誰もが経験から知っているはずであり、肝心なのは、人を育てる力が現場にあるかどうかであります。
申し上げたいのは、人的依存度の高い郵政グループにあって、人財育成と要員確保は密接不可分に関係しており、人への投資なくして、収益向上も企業の成長もないと言うことであります。
関東における労働力構成や要員不足の課題は、こうした企業の生産性向上の観点からも、極めて深刻であることを強く申し上げたいと思います。
結びとなりますが、率直に申し上げて選挙敗北の組織的ダメージが大きいことは、間違いありません。
また、今、私たちの立ち位置は、「マイナス地点」、頑張って、頑張って、やっと「ゼロ地点」にたどり着きます、つまり、組織の立て直しは「マイナスからのスタート」であり、非常に険しい茨の道だと覚悟をしております。
それは、関東の組織現状が、群馬連協と埼玉連協が献身的な取り組みをいただき純増を果たしたものの、JP労組関東結成以来続けていた大会比純増が本大会をもって途絶えたところであり、捲土重来を期さなければなりませんし、これまで申し上げた課題以外にも、「崖っぷち」とも言うべき、組合員の求心力回復のための14春闘、東日本大震災からの復興支援の「心ひとつに運動」と社会貢献の「スマイルプロジェクト」の展開、そして、聖域を設けず今後1年間の総括議論を開始する「5年総括」、新たな退職者組織の結成に万全を期し現退連携の再生を図る取り組み、政治団体みらい研と助け合いの共済の加入促進、本年度からの地本専従役員定数2名減に伴う執行体制の在り方検討など、課題は山積しており、運動の歩みを止めるわけにはいかないからであります。
さらに、厚生労働省が実施した意識調査によれば、日本は、「努力すれば報われる社会」から「お金があれば大抵のことが叶う社会」と考える人々が多数を占める悲しい社会に成りつつあり、連合が目指している「働くことを軸とする安心社会」の対極に向かっております。
私たちは、連合の仲間とともに、安倍政権の暴走を許さず、さらなる労働運動の社会性を追求しなければなりません。
一方、この調査では、「信頼しているのは」との問いに、家族・親族、そして自分の職場と答えています。
JP労組関東の地下水脈には、困ったときに助け合う仲間との信頼の力、苦しいときに支えあう仲間との絆の力が流れています。
今こそ、JP労組らしさ、労働運動らしさを前面に、中央執行委員長を輩出した地本としての責任を自覚し、再生に向けた力強い一歩を踏み出す決意であります。
大会会場のすべて皆さんのご理解とさらなるご協力をお願いして、地方本部を代表してのごあいさつといたします。
心ひとつに一緒に頑張りましょう。
ご清聴ありがとうございました。
以上