JP労組関東(第1期)役員育成ゼミ-スリランカ郵便労組 第8期奨学金授与式への派遣報告

2017年3月23日

 関東地本は、私たちと同じUNI加盟組織であるスリランカ郵便労組に対して、高校や大学進学を希望している組合員の子どもたちに奨学金授与を行っています。
 スリランカでは高校や大学の授業料は無料ですが、充分な収入を得られない家庭が多く、通学費やテキスト代、学習塾などの費用が支払えないことが理由で、進学を断念せざるを得ない子供たちが多く存在します。
 JP労組関東の結成以前(1998年)から続くこの取り組みも8回目を迎えますが、次代を担う役員育成の一環として「第1期役員育成ゼミ」受講生7名が、小室執行委員長とともに派遣されて奨学金授与式等に参加してきました。

【派遣期間】2017年2月23日(木)~2月27日(月)

【派遣団】

氏 名 所 属(組織役職)
 小室 隆行  団 長  関東地本(執行委員長)
 小野瀬 哲生  事務局  関東地本(執行委員)
 五十嵐 直樹  団 員  筑波支部(書記次長)
 齋藤 信吾  団 員  栃木中部支部(執行委員)
 早川 要  団 員  太田支部
 磯貝 雄祐  団 員  群馬西部支部(書記次長)
 坂本 拓美  団 員  埼玉北東支部(執行委員)
 会沢 進  団 員  埼玉南支部(執行委員)
 相澤 公彦  団 員  熊谷支部(書記次長)

 

※式典、視察等の写真はこちらからご覧いただけます。 
 写真集<1>   写真集<2>

 

<青年女性委員会との交流会(活動紹介と文化交流)>

 

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 24日9時より、JP労組のユースネットワーク、女性フォーラムにあたるスリランカ郵便労組の青年女性委員会との交流会が開催されました。はじめは緊張した雰囲気でしたが英語でお互いを紹介する「相手紹介」や、スリランカと日本の歌や踊りを披露することで徐々にアットホームな雰囲気に包まれた交流会となりました。

 交流会の中で、スライドを使った「JP労組関東の活動」を発表したのちには、休暇取得状況、産休・育休制度、正社員登用制度-等々の多くの質問に答えるなど、真剣な意見交換の時間となりました。

 

<第8期奨学金授与式>

 

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 24日午後から「奨学金授与式」が行われました。授与式にはUNIスリランカ議長などの関係役員のほか、スリランカ国を代表して郵政大臣および郵政庁長官も来賓として出席するため、式典開始前には会場入口にSPが待機する中、到着した郵政大臣と小室委員長が伝統舞踊の先導で入場行進していく場面をTVクルーが撮影するなど、この取り組みの国際貢献としての大きさを表していました。

 

奨学生たちへインタビュー~あなたの将来の夢はなんですか?~

 授与式前段に、育成ゼミ受講生から今回の奨学生たちにインタビューを行いました。15名(女性10名・男性5名)の受講生たちは、すこぶる緊張した表情を見せながらも選考された喜びとともに、将来なりたい職種として「医師、看護師、教員、弁護士、システムエンジニア」などについて、目を輝かせながら答えてくれました。

 

 奨学金授与式には、第8期奨学生と両親(スリランカ労組組合員)、UNI関係者と来賓のほか、1期から7期までの奨学生(卒業生)も駆けつけ、厳かながら華やかな雰囲気でスタートしました。式典冒頭、スリランカでの伝統である「オイルランプ点灯式」が行われたのちに、主催者および来賓からあいさつがありました。 

小室執行委員長あいさつ(概要)

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 スリランカ郵政大臣ならびに郵政庁長官に、授与式へ臨席いただき感謝申し上げる。
 スリランカ郵便労組の優秀なお子さんたちが高等教育を受けることができるよう、このプロジェクトも第8期を迎えるに至っている。この間、7期90名を超えるお子さんたちが、それぞれの希望に叶った学問を続け、国の発展に役立つ人材となって活躍されているという報告を聞き、大変嬉しく思っている。
 今回の派遣メンバーは、将来のJP労組を担う労組役員として研修を受けており、その締めくくりとして同行している。労働組合による国際連帯の意義について学ぶとともに、今後のJP労組の活動にも活かしていってもらいたいと考えている。

プリヤラル奨学金委員会議長(UNI-Apro金融部会担当部長)あいさつ(概要) 
 この取り組みによって、これまで90名以上の学生に授与しており、国際連帯を通じて多くの学生が奨学金によって卒業し、エンジニア・医者・看護師・教師・メディアエンジニアなどで活躍している。
 奨学金試験は、加盟労組の協力もあり郵政省施設を借用してオンライン試験を行った結果、78名の応募者から最終選考で15名が選ばれた。奨学金授与者には毎月、高校生4,000ルピー(約3,200円)、大学生5,000ルピー(約3,900円)が支払われる。

ハリーム郵政大臣あいさつ(概要)
 奨学金を授与した学生たちはスリランカが誇れる学生に育っており、UNI-Apro、そしてJP労組関東の取り組みに感謝している。このプロジェクトは互いの友好と社会貢献のためだと聞いているが、我がスリランカの支援・発展に大きく関与しており、将来的にも支援・協力を継続してほしい。スリランカ郵便労組は権利主張だけではなく、サービス向上にも協力的であり、郵政関係者は一つの家族として考えている。奨学金授与の学生たちが、スリランカ国の発展のために活躍してくれることを願っている。

奨学金授与

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 第8期奨学生15名には小室委員長をはじめ、プリヤラル議長やハリーム郵政大臣より、奨学金(目録)や認定書、記念品が授与されましたが、奨学生たちは緊張しながらも感激した面持ちで握手を交わしていました。

第1期奨学生からの感謝の言葉
 卒業生代表として会場に駆けつけた、第1期奨学生のバギアさん。
 彼女は、父親が郵便局勤務(公務員)のために公的支援が受けられないという家庭環境の中、交通事故に遭遇し右手と両足に障害を負ってしまうという絶望の淵にいた時、この奨学金制度の支援によって、優秀な成績で大学を卒業できたという経験の持ち主です。現在は、アパレル関係の会社でIT担当として働きながら結婚もされて、10ヵ月になるお子さんもいらっしゃるとのことでした。
 当然ながら、彼女の努力は並大抵のものではなかっただろうと想像に難くありませんが、それを乗り越えたことで今があるのでしょう、彼女はとても幸せに満ちた表情をされていました。さらには、愛用している車椅子も当時、贈呈されたもので「JP労組関東には、どんなに言葉を尽くしても感謝しきれないくらいの気持ちでいっぱいです」と話されていました。

第8期奨学生代表・カリヤワサムさん謝辞(概要)

 郵便局で働く父が所属する労働組合のおかげで、私たち家族もこの機会をいただけた。お金は大事であって、財政支援がなければ今は何もできない。この奨学金制度は、勉学の意欲を後押ししてくれる制度であり、組合員家族の成長の支えになっている。また、スリランカの社会発展に貢献しており、JP労組関東の支援に感謝している。今後も支援していただけることを願っている。

 

<スリランカ・ポスト郵政庁長官を表敬訪問>

 

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 25日、授与式来賓であったスリランカ・ポスト・ロハナ郵政庁長官を表敬訪問しました。長官は穏やかな笑顔で派遣団一行を出迎え、長官室隣の会議室にてスリランカの郵政事情等について、丁寧に説明してくれました。

 いくつかを紹介すれば、①30を超える労働組合がある中で、スリランカ郵便労組がリーダー的な役割を果たしてくれていること、②スリランカ国内には約4,600の郵便局があり、3,415のサブポストと呼ばれる局と、350局のメイン局、53局の最上局に区分されていること、③集配はすべて男性のみ、内務と区分業務は女性もいること、④普通郵便は自転車配達、速達やEMS等はバイクを使用して基本的に24時間以内配達すること、そして今後の展望として、グローバルロジスティック事業(EMSの拡大)を強化して収益を上げていきたいことなど、話す内容やボリュームからもJP労組関東に対する敬意が感じられました。

 

<スリランカ郵便労組訪問(中央郵便局視察)>

 

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 その後、労組役員の案内によりスリランカ中央郵便局と併設している中央集配センターを視察しました。8階建ての大規模な局舎でしたが、区分口は日本と同様の形をしているものの、区分機などの機械は皆無ですべて手作業、また通年気温の高い気候ながら、クーラーはなく扇風機のみ、まさに日本の20年前を思い出す職場環境でした。

<第7期奨学生宅訪問>

 最後に、派遣団を2班に分けてそれぞれ前回の第7期奨学生宅を訪問しました。 


スラッカナさん宅訪問

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 医者になることを目指している彼女は、お母様が郵便労組の組合員であったことで、2015年に奨学生として選ばれ、友人の多くが地元高校に進学する中で、認定試験を突破して首都コロンボの高校に入学して、奨学金を活用して学習塾に通っています。 
 しかしながら現在は、「アドヴァンス試験」という合格者が15人に1人という極めて困難な試験に不合格となり、次回のアドヴァンス試験(合格)まで奨学金がストップしてしまっているそうです。また、このアドヴァンス試験の受験は3回までと決められており、平等にチャンスを与えられている日本の教育事情と大きく違うこと、さらには厳格に奨学金制度を運営していることについて、受講生たちは実感する機会となりました。
 そのような状況においてもスラッカナさんは、次回合格へ向けた学力アップのモチベーションになっていること、このように進学のチャンスを与えてくれた奨学金制度には感謝しきれないほど感謝していると笑顔で話してくれたことが印象的でした。


モナウィラさん宅訪問

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 コロンビア大学に通うモナウィナさんは、まもなく卒業となる大学4年生で、ご家族とともに笑顔で迎えてくれました。彼は現役生として唯一、入学案内パンフレットに載るほどの優秀な成績を収め、最長となる2年間奨学金を授与されていたそうです。 
 奨学金授与が決定した時の感想、第8期奨学生へのメッセージなどを質問すると、自分以上に家族が喜んでくれたこと、贈呈式で感激したこと、そして今期選抜された奨学生へ向けて、「この奨学金制度に感謝の意を忘れずに、これまで以上に勉強に励んで邁進してほしい」と話してくれました。将来の夢は化学者になることで、今後は博士号取得のためにアメリカへ留学し、さらに勉強を続けたいと教えてくれました。 
 そして、郵便局で働くお父様に話を伺うと、彼のお兄さんが視覚障害者で治療費等の負担が大きく、奨学金がなければ進学させることはできなかった、JP労組関東と日本の皆さんに感謝していると話してくれました。

 

今回の体験を活かした活動

 翌26日の午後にはスリランカを離れ、日本時間27日の早朝に帰国という、機中泊を含めて5日間のスケジュールでしたが、派遣された受講生にとって、この奨学金制度のもたらす貢献の大きさを実感する貴重な機会となりました。次代を担うリーダーとして受講生の皆さんには、この体験を諸活動に活かしていただきたいと思います。

 

 今回の海外派遣研修に向けて、さまざまな対応をいただいたすべての方にあらためて感謝を申し上げ、報告といたします。





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日本郵政グループ労働組合中央本部