2014春闘の勝利をめざして
2014年2月17日
拝啓 皆さんお元気ですか。
関東では、2週続けての記録的な大雪で、各地で被害が多発している模様です。
そして、未だ開局できない局舎があることや郵便を中心に各局で混乱も生じているようです。
組合員の皆様のお宅や職場は如何だったでしょうか。
地本は、安全最優先を基本に支社対応したところですが、何か問題があれば、支部、連協を通じて報告をお願いします。また、被害に遭われた皆様には、共済の関係でも支部を通じてご連絡をいただきたいと思います。
これまでの厳しい環境の中での業務運行確保のご努力に敬意を表するとともに、今後しばらくは、通勤や屋外作業などで苦労されると思いますが、安全最優先に業務にあたってほしいと思います。
さて、JP労組は、先週の13~14日にかけて、第12回中央委員会を開催し、2014春闘の取り組みをはじめとする当面の活動に対する全国的な意識合わせをしたところです。
議論の詳細は、21日から「関東総対話活動」として、組合役員が皆さんの職場に出向くこととしており、その際に報告しますので、ぜひ参加してください。
昨年春闘の継続課題であった特別手当も、皆さんの努力と中央本部の奮闘により0.5月で妥結し、3月7日に支給されます。これで、今年度の一時金は、3.8月まで回復したことになり、2014春闘に繋げなければなりません。
情勢は、2月末に公表予定の株式上場計画を含む中期経営計画の内容と数値との関係など、極めて厳しい状況ですが、正社員一時金年間4.3月、ベア1%、月給制社員の月例賃金1万円、時給制社員の時給30円引き上げの要求完全獲得に向けて、家族を含めた署名活動、職場集会、朝ビラ配布行動などを展開し、中央交渉のバックアップに万全を期したいと思います。
皆さんのご協力をよろしくお願いします。
今週も降雪の予報があります。
どうか、くれぐれもご留意ください。
敬具
2014年2月17日
日本郵政グループ労働組合関東地方本部
執行委員長 小室 隆行
追伸
私は、その中央委員会における関東地本の意見を決定する「支部代表者会議」の冒頭において次のようにあいさつしました。
ご一読いただければ幸いです。
支部代表者会議 あいさつ
みなさんおはようございます。紹介いただいた小室でございます。
本日は、関東各地からお集まりをいただき感謝申し上げます。
また、日頃からJP労組運動の発展に向けて、職場や地域で献身的な活動を展開いただき、感謝申し上げたいと存じます。
支部代表者会議の開催にあたり、地本執行委員会を代表してごあいさつを申し上げます。
私は、先の地方大会において、参議院選挙の敗北を受けて、どう組織を立て直すのかという想いを、「原点・実践・伝授」の言葉に託しました。
それは、「労働組合の原点に立ち返り、労働運動を実践する姿から、労働運動の理念を伝授する」ということであり、この間、労使関係の再構築や職場課題の解決はもとより、組織拡大、みらい研、共済を再生の大きな柱に据えて、組合員との対話を積み上げてまいりました。
後ほど担当から詳細を報告しますが、私から言わば「3つの再生バロメーター」の途中経過について、皆さんの奮闘への感謝の上に申し上げたいと思います。
最初に、昨年度純増がストップした組織現状ですが、今年度から本部は、ゆうネットデータに登録された人員と加入書到着数による組織把握を行うなど、まさにリアルな、よりシビアな手法をとっており、それだけ、当面する25万人組織達成に対する全国的な危機感の表れと受け止めております。
関東では、1月27日から開始しました第2次行動において、支部、連協が連携した土着オルグなどの効果が表れ、先週までに茨城21名、栃木13名、群馬19名、埼玉108名、千葉60名、全体で221名の加入報告があったところです。改めて感謝を申し上げたいと思います。
特に、埼玉連協は関東全体の約半数を占めており、敬意を表するとともに、今後ともトップランナーとしての役割を期待するものです。
一方、目標に対しての達成率は、約8%にとどまっており、13支部ある実績ゼロ支部の解消を含め、春闘と連動した一層の奮起を要請する次第です。
二つ目の「みらい研」の取り組みにおいては、参議院選挙での敗北と民主党に対する組合員の感情など、極めて困難な状況の中で、関東全体の加入率20%を達成していただきました。本当に感謝しております。しかし、未だ全国平均を下回っている現状にあります。
統一地方選挙や次期国政選挙を展望し、政治力の再生の観点からも早期の30%達成に向けてさらなる奮闘を要請する次第です。
三つ目の共済の加入推進については、先般の共済支部代表者会議に支部長の皆さんにも出席をいただきましたので、多くを申し上げませんが、共済はスケールメリットが命であり、そのスケールが縮小している現状は、助け合い文化の危機であると言えます。改めて、ご協力をお願いする次第です。
こうした組合役員の奮闘にも拘らず、困難性が高まる背景には、職場における慢性的な要員不足、なかんずく正社員比率の低さなどの労働環境の劣化、そして労使コミの形骸化による労使関係の希薄化などが、JP労組に対する求心力の低下につながっているものと思っております。
地本としても、過日、地方大会決定要求を整理したところですが、その一丁目一番地は、高次な労使関係の構築と役員の活動環境の整備、そして要員確保でありました。整理内容の細部には触れませんが、例えば「支社幹部と支部役員との意見交換会」の実施など、半歩前に出たと思っております。
その際に私から支社幹部に対して、「収益を上げるのも、労使関係の基本も支部であり、職場であるということ、そのためには、職場の不合理や不条理に、つまり、おかしいことをおかしいと、間違いを間違いと主張する人たちの正義感や勇気に光を当てるべき」と申し上げました。
これからも職場にはJP労組があり、そこには役員がいる、その当たり前の認識と労働環境の整備を追い求めたいと思います。
次に、第12回中央委員会議案について所見の一端を述べたいと思います。
まず、2014春闘と中期経営計画であります。
本題に入る前に、第1号議案の表題は、「2014春闘をはじめとする当面の取り組み」となっております。しかし、はじめにの項には、春闘の文字はなく、やっと6項目に春闘の取り組みが出てきます。
少し苦言めいておりますが、メリハリ、優先順位、本部の本気度、そして職場討議の促進を図る観点からも一考を要すると指摘したいと思います。
さて、本春闘の特徴は、アベノミクスという実態の伴わない円安、株高誘導策により、大企業を中心に業績が回復基調にあるためか、社会を覆う雰囲気には高揚感が漂っております。
しかし、それはあくまで期待感や気分であり、地方や中小企業は依然として厳しい状況にあります。
また、政府が経済界に賃上げを要求する映像がマスコミを通じて報道されていることであります。これは、労使関係の本質を無視したものと言わざるを得ません。春闘は、あくまで、労使自治の原則に基づき、組合員の生活実態を基本に組み立てられた要求を、自らが闘いとり、生活改善につなげるものであることを再確認したいと思います。
先に集約されました、組合員生活実態調査では、93%の組合員がこれからの生活に不安を訴えており、一時金の低額妥結、物価上昇、消費税の増税の影響を色濃く反映しているものと判断しております。
また、日本の勤労者世帯の年収が12年前と比較し60万円も減少し、非正規労働者は全体の40%に迫り、年収200万円以下で働く人は、1100万人に達しているという惨憺たる事実です。アベノミクスの成長戦略は、その現実に目をそむけ、労働者保護ルールの改悪にみられるようにその本質は、労働者や社会的弱者を踏み台にした政策そのものであり、さらなる格差をもたらすものと考えます。
そのうえで、議案に加えて過日、本部より示された討論素材を含め、主要な論点について考え方を述べたいと思います。
ひとつに、2013春闘の継続課題であります特別手当につきましては、昨日、昨年同様の0.5月で妥結に至りました。計画値を上回る収益に貢献した組合員の努力とともに、中央交渉の成果を率直に評価し、敬意を表する次第です。
これで、年間支給額は3.8月となり、「複数年かけて水準回復」との方針の下、今春闘への弾みにしなければならないと考えます。
一方で、毎年主張しておりますが、3年も続きますと年度末業績に応じた手当支給という方法の定着を危惧するものであり、あくまで春闘時における年間要求額の満額獲得のスタンスを明確にすべきと考えます。
ふたつに、いわゆる「討論素材」によって示された統一要求を維持したうえで、一時金4.3月、ベア正社員1%、月給制社員月額1万円、時給制社員時給単価30円の引き上げの経済要求項目について、その考え方と根拠を含め概ね理解できると判断しております。
だだ、時給制社員については、時給単価の要求よりも郵政最賃という制度上からも、地域最賃への付加金の増額を求めることが現実的であり、今後の検討を要請したいと思います。
そして、経済要求とともに期間雇用社員の正社員登用の促進、そして残業に対する総量規制と割増との関係改善、関東の厳しい要員事情と職場実態についても、改めて訴えたいと思います。
春闘は、それまで、それぞれの組織がバラバラに交渉していた賃金交渉を統一することにより、大きな成果を上げ、戦後労働運動の最高傑作と言われております。
先人たちの苦労に思いを馳せ、安易に妥協することなく、不退転の決意で臨むとした本部の言葉を信じ、家族を含めた署名活動、朝ビラの配布行動など、春闘勝利に向け全力でやり抜く決意を共有したいと思います。
そして今後の焦点は、今月末に公表予定とされております、中期経営計画の内容と数値であります。
これまでのように当面の黒字を確保するために、収益を伸ばす本筋を示さずに、コストだけカットするようでは、経営者としての責任放棄であり、時代に逆行するものだと指摘したいと思います。
さらに、上場計画とともに中期的な成長戦略を盛り込んだ新たな投資計画が含まれることとなります。議案の表現を引用しますと、「その投資規模は3年間で数千億円と想定できる」とあり、「減価償却費など各年度の損益に大きく影響する」としております。システム投資や社屋改善による基盤整備の必要性、そして上場と経営の自由度確保などの考え方を否定するものではありませんが、限られた財源であり、郵政グループは人の企業であり、人への投資を優先すべきです。
その際、私は、JP労組関東新聞の新年号にも書かせていただきましたが、人々の信頼関係や結びつきや繋がりを意味する「ソーシャル・キャピタル」、つまり、これまで当たり前に存在し組織を支えていた、仲間意識、円滑なコミュニケーション、相互信頼、一体感、助け合い、技術の伝承といった意識や価値が、成果主義による個人化、ITの発達によるコミュニケーションの変容、雇用形態や働き方の多様化など、様々な環境変化によって薄らぎ、その基盤が揺らいでおります。
だからこそ、「人と人とのつながり」、「組織と個人の信頼」という言わば目に見えない資源の再生のために、要員確保や賃金と処遇改善という「人への投資」をすべきと再度申し上げたいと思います。
次に、株式上場計画に触れたいと思います。
現段階では株式上場がもたらす職場の変化が一向に明らかにならず、心無い一部管理者の言動からも、現場から少なからず不安や戸惑いの声が聞こえてきます。
上場によって、この間の懸案事項である、新規業務、限度額などの上乗せ規制撤廃など、真の経営の自由度を担保する方向性、市場からの広範な資金調達、潜在的投資家に評価される企業価値とブランド力の向上など、想定されるメリットがあるものの、私たちが忘れてならないのは、郵政事業の公共性であります。
昨年、イギリスのロイヤルメールが上場しました。案の定、短期的な配当を求めるヘッジファンドが大株主になり、その公共性に圧力をかけていると聞きます。
日本郵政の場合、法律により政府が3分の1を超える株を保有することが定められており、決議に対する拒否権を有しているものの、ユニバーサル企業の上場の在り方について研究と計画に対する検証を求めたいと思います。
今年度は、10月の中央委員会を開催しなかったことから、春闘方針だけではなく、労働条件課題も極めて重要な、そして多岐にわたるものとなっております。多くは、この後の議論に委ねたいと思いますが、新たな人事給与制度の導入に関わる課題、そして、密接不可分な関係として一体的に整理した労働力政策、なかなか職場で実感がない日本郵便の組織統合メリット、特に、集配センターの一体化に関しては、集約、統合政策など様々な施策との関連性があるものの、取り残され感は否めず、早急にあるべき姿とそのための具体的ロードマップを明示するよう発信したいと思います。
そして、今も忘れてはならない、終わらない問題があります。
あの東日本大震災から、もうすぐ3年を数えようとしていますが、被災地の現状は、まだまだ「復興」と呼ぶには程遠い状態であり、私たちが支援している岩手南リアス支部の三陸沿岸には無人の更地が一面に広がっています。
また、津波と原発事故の二重災害に苦しむ福島の被災地では、この3年間、時間が止まっている状態と言っても過言ではありませんし、未だ故郷を離れ避難生活を余儀なくされている方々が多数おられます。
私どもは今年も、3度目となる「3.11を忘れない関東集会」を開催して、関東も被災地であることを忘れず、復興を支援する「心ひとつに運動」に全力で取り組む決意を全体で確認したいと思います。
最後になりますが、本中央委員会で、参議院選挙総括を確認し、改めて組織再生の歩みを刻むことになります。
私たちにとって2014春闘は、参議院選挙の敗北から組織の再生がかかる闘いでもあります。
ぜひ、真摯な討論のうえに、中央委員会に発信すべき関東の意思を確認いただきますよう、お願い申し上げてあいさつとします。
心ひとつに一緒にがんばりましょう。
ありがとうございました。
以上