第5回定期地方大会を終えて
2012年7月30日
拝啓 関東地方も梅雨明けとともに猛暑の日々が続いております。
組合員の皆さんも熱中症などに留意してこの夏を乗り切ってください。
また、この便りは、だいぶご無沙汰をしてしまい大変申し訳ありませんでした。
さて、地方本部は、7月5日から6日にかけて、千葉市において「第5回地方大会」を開催し、1年間の総括の上に新年度の活動方針を決定したところです。
大会では、代議員の皆さんから厳しい職場実態の報告とともに、郵政改革に対する期待と不安、来夏の参院選における「さだみつ克之」組織内候補予定者の勝利に向けた決意など、多岐に渡る発言をいただきました。
地方本部としても、こうした想いを真摯に受け止めながら、責任と自覚ある執行姿勢を貫きたいと想っています。
組合員の皆様には、本年度もどうぞよろしくお願いします。
今回の便りでは、以下、大会における私のあいさつ内容を記しましたので、少し長いですが一読いただき、その想いを受け止めていただければ幸いに存じます。
それでは、これからが暑さ本番、くれぐれもご自愛ください。
敬具
2012年 盛夏
日本郵政グループ労働組合関東地方本部
執行委員長 小室 隆行
第5回定期地方大会執行委員長あいさつ
2012年7月5日
執行委員長の小室でございます。
定期地方大会にあたり、地本執行委員会を代表して、ごあいさつを申し上げます。 まず、関東各地からご参集いただいた代議員、傍聴者の皆さんには、JP労組運動の前進に向けて、ご奮闘をいただいております。
取り分けて、先の全国大会では、JP労組結成以来継続していた組織純増がストップする状況の中で、関東地方本部は、本大会を29,130名と拡大基調の流れを止めることなく、組織結成以降、最大の組織数で迎えることができました。
私は、「組織現状は組織の体温計」とも、「仲間を守るために仲間をつくる」とも申し上げ、正確な組織把握の重要性と飛躍的な組織拡大の必要性を訴えてきました。そうした思いを受け止めつつ、全国に比して厳しい関東の要員事情と職場環境下の中で、「困難」と言う壁を乗り越え、伝統の底力を発揮していただき、こうして大会冒頭に、この成果をご報告できる栄誉に対し、5連協、49支部の皆さんに、感謝とともに心から敬意を表する次第でございます。本当にありがとうございました。
そして本日は、公私ともにご多用のところ、私どもへの激励のために多くのご来賓の皆様にご臨席を賜りました。
本大会開催地からは、連合千葉・黒河会長、民主党千葉県連・田中幹事長にお越しをいただいております。私どもの上部機関、中央本部からは小俣書記長をはじめ関東出身の中央執行委員の皆様に出席いただきました。グループ各社からは、郵便局会社・小野寺支社長、郵便事業会社・長尾支社長、ゆうちょ銀行・斎木本部長、かんぽ生命・西川統括支店長、日本郵便輸送・越智支社長をはじめ、幹部の皆様にご出席をいただきました。関東地方郵便局長会からは、全国郵便局長会副会長に就任された大澤会長をはじめ千葉県内各地区会長の皆様にお越しいただきました。また、組織内議員であります奥野衆議院議員ならびにJP労組関東組織内地方議員の皆様にもご出席いただきました。さらには、ポストライフ、郵政福祉、株式会社友愛、それぞれ代表の皆様にご出席いただきました。
そして、JP労組関東の礎を築いていただいた、歴代委員長の皆様と退職者組織の先輩の皆様にもお越しいただいております。
なお、組織内議員の難波参議院議員ならびに来夏の参院選に組織内候補として擁立を決定しております、定光中央執行委員におかれましては、この後に出席の予定となっております。
皆様には、後ほど、ご紹介申し上げ、代表の方からごあいさつを頂戴することとしておりますが、私から大会構成員を代表して本日のご出席に御礼を申し上げたいと存じます。本当にありがとうございました。
さて、関東地方にも大きな被害をもたらした東日本大震災から早いもので1年4ヶ月の歳月が過ぎようとしております。
この間、関東の仲間は、全国から寄せられた善意に勇気と元気をいただきながら、震災直後からの様々な取り組みを継続するとともに、「心ひとつに運動」では、『岩手南リアス支部』へのサポート活動として、多くの仲間が現地へボランティアに赴き、女性フォーラムの皆さんは手作りの雛人形と鯉のぼりを届け、ユースネットの若者達はキャンプで交流を深めています。
私が思う「心ひとつに運動」のメインテーマは、助け合い精神に立脚した労働運動の原点とその価値を見つめ直し、岩手南リアス支部の皆さんとの絆のネットワークを通じて、お互い被災地として一緒に困難を乗り越えることだと思っています。そして他人の痛みを自分の痛みとして感じられる社会を創ることだとも思っています。
これまでの取り組みに感謝申し上げるとともに、今後もサポート地本としての責任を自覚し、息の長い取り組みを確認したいと思います。
私は、あの時のテレビ映像から伝わる、凍りつくような衝撃と刻々と明らかになる原発事故を含めた被災状況を目にした時の、胸が張り裂ける様な感情を今でも忘れることはありません。また、そうした想いの中で、「3.11を忘れない関東集会」を開催し、あの日のこと、そして仲間のこと、さらに関東も被災地であることを忘れず、風化させないことを誓い合いました。
一方で、これまでを振り返りますと、あの日の記憶と教訓は、本当に今に活かされているのかと自問自答しております。
昨今、地震はもとより、竜巻、大型台風、ゲリラ豪雨、爆弾低気圧、等々、自然災害の猛威は留まることを知りません。
そうした中で、私たちの使命であるユニバーサルサービスの提供は、外務作業に従事する社員や公共交通手段が未整備の地域に勤務している社員をはじめ、全国津々浦々で様々な勤務地と勤務形態の人々によって維持されていることを忘れてはなりません。
日本社会は、3.11を前後して人生観や価値観が大きく変化したと言われる中で、地方本部の役割として、職場における防災、減災意識を高めつつ、危機管理マニュアルの再整備、労働安全意識の向上と安全衛生委員会の機能強化、そして何より、人命最優先主義の徹底について、改めて地方交渉を展開したいと考えております。また、助け合いの象徴であり、安心の備えとしての共済活動の取組強化を図りたいと思います。ご理解を頂戴したいと存じます。
その上で、私から主要課題に対する所見の一端を申し上げたいと思います。
まず、郵政改革について申し上げます。
4月27日、私たちにとって、積年の課題であり、悲願でもあった、いわゆる「改正郵政民営化法」が成立しました。
法案提出から2年7ヶ月、「3内閣、6国会」、「2度の廃案と4度の継続審議」という永い道のりを経た上で、改正法へとその姿を変えましたが、改革法の趣旨を最大限反映したものと受け止めており、やっと、新しい郵政づくりのスタートが切れることとなりました。
振り返りますと、この約20年間の郵政労働運動は、経営形態問題とその政治対応に収斂され、中でも、第3次行革審、97橋本行革、小泉民営・分社化、そして今回の民営化見直しなど、その時々の政権と政局の中で政治に翻弄された歴史と言っても過言ではなく、今回、民自公による共同提出法案が圧倒的多数で成立したことは、経営形態問題に一定の決着をみたものと判断しております。
また、成立の背景には、相互信頼をベースとしたオール郵政での政治対応に加えて、組合員の皆さんの献身的な業務に向き合う姿勢と国民・利用者の郵政サービスへの期待があったと判断しています。この間の組合員の努力と多くのご労苦をいただいた関係各位に敬意を表しつつ、率直に喜び合いたいと思います。
一方、グループ各社の枠組みは変わるものの、経営環境や収益構造がドラスティックに改善されるわけではありません。あえて申し上げれば、このことをもってバラ色の未来が待っているわけではなく、今後も厳しい市場競争の中で一層の経営努力が求められると思っています。ただ、これまでの先の見えない不透明な閉塞感とは違い、視界良好とは言えないまでも、この先に一筋の光が差し込む中での努力であり、中央段階に設置された「新たな郵政づくり労使協議会」では、こうした努力を、国民・利用者の信頼の回復と、働くものの誇りの再生につなげ、現場力を高めていただきたいと思います。
当面は、会社統合移行日に向けた万全な体制の構築をはじめ、「集配センターのあり方」「ゆうゆう窓口の扱い」「集配社員による貯金通帳預かり」など、早期に明らかにする必要があります。
地方本部としても、持続成長可能なビジネスモデルの構築に向けて、現場の知恵と英知を結集して労働運動の分野から努力してまいりたいと思います。本大会においても建設的な意見・提言を要請するものでございます。
次に、経営課題について申し上げます。
本年度における関東エリアの営業推進状況の概略は、郵便事業会社においては、営業がほぼ順調に推移しているものの人件費が超過の状況、郵便局会社では、総体的にスタートダッシュの出遅れが否めず、ゆうちょ銀行では、若干推進の遅れがあり、かんぽ生命が唯一、計画を上回り順調に推移しております。
各社ともに、今後、挽回策等を講じるとしておりますが、特に、減損回避を命題とする郵便事業については、待ったなしの状況となっております。
地方本部としても、月次業績を挟みながら、損益改善に向けて建設的かつ前向きに議論を継続しているところでございます。
さらに、本年2月には組合員の声を集約し、「郵便再生の実現にむけて品質とモチベーションを確保するための緊急要求」を提出し関東労使の現状認識を一致させつつ、一定の改善策を講じることを前提に交渉整理を図り、職場実態を注視しつつ、さらなる地方交渉を展開している経過にあります。
しかし、職場では24年度単年度黒字を受け止めつつも、多くの課題が内包しております。現場にこそ本質と真実があります。地方本部は、これからも真の現場主義に徹し、この難しい課題に真正面から向き会いたいと思います。
次に、新たな人事・給与制度について申し上げます。
ご案内のとおり、第9回中央委員会における確認の上に、現在、第3次要求による精力的な中央交渉が展開されております。
地方本部は、全国大会において、現段階において特にこだわるべき事項や労働力政策の先行論議、会社統合を視野に入れた慎重な対応について要請したところでございます。大会では、詳細なシミュレーションも示されていない事などから、現段階における会社の考え方と本部スタンスが示されたに留まっており、今後は、8月上旬の中間報告の上に、第10回中央委委員会において、一定の到達点とその後の方向性を確認することになります。
この課題は、組合員にとって労働条件というより、職業人生を左右しかねない重要な課題と認識しており、これまで同様に丁寧な情報周知と組合員との対話を中心に論議と理解を深めていくこととします。
次に、春闘の取り組みについて申し上げます。
残念ながら、本年の12春闘も昨年同様の厳しい妥結結果となり、組合員の皆さんに大きな負担を強いることになりました。
関東においては、新しい要求決定プロセスを受け止め、2次に渡る全職場オルグや職場集会の開催等、組合員との対話を最優先に取組むとともに、全国的には低調と総括された「ハガキ行動」でも、最大限やり切った支部が多くあっただけに、組合員の皆さんの落胆に対し、その責任の一端を痛感しております。
13春闘においても、厳しい状況が続くことが想定されますが、一時金水準を一刻も早く回復させるなど、組合員の期待に応える春闘を組織全体で再構築しなければならないと強く感じております。
次に、政治情勢について触れたいと想います。
消費税率の引き上げを柱とする「社会保障と税の一体改革」を巡って民主党が分裂しました。
地方機関の立場をわきまえつつも、全国の仲間とともに、あの暑い政権交代の夏を闘った一人として申し上げれば、「今、時計の針を戻してはならない」、つまり、「時代を逆戻りさせてはいけない」と言うことに尽きます。
私たちは、郵政改革が政権交代によって大きく舵を切ったことを忘れることはありません。「政権与党である民主党は、早期に体制を立て直すとともに、所属する国会議員一人ひとりは与党としての責任を改めて自覚して対応すべき」との、連合事務局長談話を真摯に受け止めていただきたいと思います。
次に、政治決戦とも言うべき選挙闘争について決意を含め申し上げます。
「絶対に負けられない戦いがここにある」。
サッカーワールドカップ最終予選を戦っている日本代表の想いを託した言葉です。私たちにとっても、なんば選挙が組織の命運をかけた闘いなら、次期衆院選と来夏の参院選、この政治決戦は、JP労組の名誉と責任をかけた「絶対に負けられない闘い」であります。
本日ご出席の「奥野総一郎」議員は、郵政法案成立に向けて粉骨砕身の行動力で、難波議員とともに永田町では影の立役者といわれる程、ご活躍をいただきました。次期衆院選では、恩返しの意味を込めて奥野議員の再選をはじめ、推薦候補全員の勝利をここに確認したいと想います。
また、全国大会で決定した、来夏の参議院選挙比例区「さだみつ克之組織内候補」の必勝に向けて、その意思を共有したいと思います。
私は、本部役員当時、「さだみつ克之さん」と文字どおり机を隣合わせに活動しました。
その頃から、すばらしい才能の持ち主であり、政治家「さだみつ克之」となれば、これまで積み重ねた経験を生かし、必ずや「私たちの未来に希望の光を照らしてくれる人物」だと確信をしております。
私は、労働運動、とりわけ選挙闘争にあっては、「大義と共感」が生命線であると言ってきました。大義と共感は、ことを成し得る源泉であり、大きなパワーを生み出します。「真の組合員の幸せと郵政改革の実現」、その一点でどれだけ共感の輪を広げられるのか。地方本部に課せられた命題として受け止めています。
選挙情勢は衆参ともに異常な逆風の中での闘いであることは自明の理です。
地方本部は、昨日の執行委員会で、地方選対態勢を確認しました。
早急に連協、支部の闘う陣を整え、「常在戦場」、その先頭で闘う覚悟でございます。
皆様のご支援、ご協力を節にお願い申し上げる次第です。
結びとなりますが、これからの1年間、関東地方本部は、課題山積の中、正念場であり、分水嶺に立っていると認識しています。
したがって、常に「選択と集中」を意識しながら対応することになりますが、それは活動の間引きや手抜きではなく、組織拡大も、みらい研も、心ひとつに運動も、福祉型労働運動も、そして選挙闘争も、優先順位を明確に、メリハリをつけて活動することを意味しております。
名作「一枚のハガキ」を遺作に、本年5月、満100歳の生涯を閉じられた映画監督の故「新藤兼人」氏は、座右の銘とした「生きてる限り、生き抜く」との強い意志を、100歳まで現役を貫くことで立証されました。
関東地方本部も、新藤監督のように「やる限りは、やるべきことを、やるべき時に、やり抜くこと」を運動の機軸に置き、労働組合の原点と使命を忘れることなく、「本質を捉える知識、他者を感じる力、先頭に立つ勇気」を持って、1年間、全力で駆け抜ける決意を申し上げるとともに、本大会における代議員各位の真摯なご討論をお願いし、ごあいさつとします。
心ひとつに一緒に頑張りましょう。
ご清聴ありがとうございました。
以上